2017-10-21 15:40

荒川区立第九中学校 読書講演会・懇親会 レポート

投稿者:fumie

10月13日(金)荒川区立第九中学校で開催された「読書講演会」(児童作家:いとうみくさん登壇)に参加しました。
同中学校で国語教師として勤務し、図書館担当をしている友人の相談に乗ったことがきっかけでご招待頂きました。
友人はもちろん、校長先生、学校司書のご厚意により、講演会後のいとうさんとの懇親会にも混ぜていただくことができ、図書館の見学もできましたので、こちらも合わせて報告いたします。(図書館見学記はこちら

「本は生きるために必ずも必要なものではないが人生に豊かさをもたらしてくれる」
 読書に関わる講演会のほとんどで聞く言葉です。今回、いとうさんもおっしゃっていました。
読書推進に携わる身として、私も心からそう思います。それは児童書も一般書も変わらないものだと思います。
いとうさんは児童書と一般書の違いについて、児童書は「子どもが希望を感じられるもの」と位置付けられました。
極端に言ってしまえば、一般の小説は主人公が自殺して終わってもそれも一つの結末を持つ「娯楽小説」として片づけられる。
しかし、日本は若者の自殺率が世界でも高く、次の一歩が見つからずに諦めてしまう子がたくさんいる。
そんな中で、これを助けるために物語の中に希望を書くと。社会的な問題を提示し、子どもたちに直球で問いかけるんだと。
さらに「本は人の生き方が書いてあるから面白い」というお話には何度も頷きました。
「どうやって話を考えるか」「話を書くときに意識すること」という生徒たちからの質問に、いとうさんは一貫して「話ではなく”人”を書く」と答え続けていらっしゃいました。
話はもちろん大切だけれども、まずどんな子を書きたいかを考えるのだそうです。
いとうさんの作品の登場人物たちが、現実に存在しているかのようにリアルに感じるのは、このように作られているからなのですね。
「登場人物のモデルにしている人は?」という質問もありましたが、これも人物描写がしっかりされている賜物なのではないでしょうか。
本がもたらす豊かさが何か、説明するのはなかなか難しいと思うのですが、いとうさんが「本との出会いは人との出会いと似ていて、良い本に出会えた時に友だちがひとりできたような気持になれる。合わない人(本)と無理に付き合う(読む)ことはしなくてもいい」と言われたことは、きっと生徒たちの心に響いたと思います。
そして、最後の「子ども時代は楽しいが、だからこそ苦しいことや嫌なこともたくさんある。大人はもっと楽しい。逃げ場もたくさんできる。だから今がしんどくても頑張って」というエールは、私が中学生の時に誰かに言ってもらいたかった言葉だなあと思いました。
自分が中学生の時にこの講演を聴いていたら、と考えてしまうほど素晴らしい講演でした。
後ろから見ていて、生徒たちの背筋が最後までピンと伸びていたのが本当に印象的でした。

図々しくも、懇親会でいとうさんに3つの質問をさせていただきました。
最初は1つだけのつもりだったんですが…快くお話して下さって感謝しかありません。
本当にありがとうございました。

*低学年向け(絵本)と高学年向け(よみもの)で書き分けるために気を付けていること
A 低学年向けは重たいテーマや社会的なテーマを避け、そういった話を書いても明るく終わるようにしている。

*メッセージ性の強い作品はどう思うか(公共図書館で読み聞かせ等する場合は授業ではないので楽しんでもらえる作品を選ぶことが多いので)
A 明確に伝えたいことがあって書くことはあまりない。書きたい人物像があって、その人物を書くようにしている。

*これまで書かれた作品で図書館や書店に「これだけは置いてほしい」作品は?
A 『アポリア あしたの風』(童心社/2016.5刊)童心社の紹介ページ

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