2008-08-21 21:39

『奥薗壽子の読むレシピ』

投稿者:深田

  料理本といえば、出来上がりを写真で見せてから、作り方を箇条書きで示していくのが定番のスタイルだが、この本は写真をいっさい使わず、エッセイでつらつらと作り方を語っていくだけ。それで作れるくらいの簡単料理しか取上げていないのだ。速くて美味しい料理しか作らない人にもってこいの本。写真がないと、こんなふうに作らなくっちゃというプレッシャーもないから嬉しい。
 でもどの料理にもちょっとしたポイントがある。要するに料理はセンスなのだ。ありふれた材料も意外な組み合わせで微妙な味わいが出るし、薬味の使い方や盛りつけによってもお洒落で美味しいものになる。例えばトマトと卵を組み合わせた「トマたま丼」。「トマたま」はニンニクとごま油で炒める、「トマたま」をのせるご飯には、かつお節をたっぷり敷いておかか丼にしておくことがポイントである。
 例えば、コシの弱いスパゲッティを買ってしまったら、スパゲッティだと思うから腹が立つので、中華麺だと思うことにしたらどうだろう、とくる。なるほど、発想の転換だ。偽中華麺でつくる冷し中華は、ツナマヨをのせても合うのだそうだ。
 貧弱な材料でしかも手間をかけず、それをいかにうまくごまかして美味しく食べるか、という知恵の本なので読んで楽しい。装幀もシンプルでかわいい。

著者:奥薗壽子
イラスト:奥薗壽子 装幀:朝倉まり
発行:産経新聞出版 2008年
定価:1429円+税
ISBN978-4-8191-1008-2

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