2008-10-20 0:08

『花の季節ノート』

投稿者:小関

四季おりおりの花を静かに熱く綴ったエッセイ。 「季節の美しさを知ると知らないとは人生の幸福感が違う」の信念をもった気象キャスターの元祖 倉嶋厚氏は温厚な風貌にかなりの頑固さをおもちのようですが、うつろう花にたいする造詣と愛情は人一倍強く、花言葉や来歴を古今の文学者たちの眼と自然への畏怖もからませ抒情的に語っています。

つい先頃まで甘い香りを漂わせていた金木犀のまたの名は九里香と呼ぶなど教えてくれます。 ちなみに春香る沈丁花は七里香とか。 ニ季草の別名がある藤の花を「行く春の・・・」とうたったのは一茶、「夏のはじめかな」とうたったのは定雅, ニセアカシアはニセという名で損をしているとか、外国民謡の「庭の千草」原詩ではバラ、最初の訳詞は菊だったとか、時期を失する意味の「六菖十菊」のいわれなど、図鑑的な説明ではなく、花を賛美するだけでもなく、季節の先に人生を見つめる慈愛に満ちたまなざしが行間に感じられます。 「人生は木枯らし、時雨、そして小春日和」傘寿を迎えた心情でしょうか。

花は花であるだけで美しい。 その上にどんなパフォーマンスを見せてくれるかページを繰る楽しみがこの本にはあります。 新聞連載「花おりおり」でお馴染みの平野隆久氏の写真も抒情的、撮影場所も提示されているのでカメラ勝手に訪ねたくなりました。

『花の季節ノート』 倉嶋厚 幻冬社 ISBN4-344-01210-0 装丁デザイン:横山明彦

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