『精神的に不安定な利用者に対する接遇研修』に参加して
1月31日(火)、渋谷区立中央図書館で接遇研修を開催、主催のげんきな図書館スタッフの他、渋谷区や新宿区、武蔵野市などの図書館職員の方々を含む72名が参加しました。
講師の東京医科大学病院・宮川香織先生は、行動の習慣を変えることで自分を変えていく「行動修正」を専門とする、この道30年以上の経験豊かな精神科医。イラストに吹き出しをつけるなど工夫を凝らしたパワーポイントを使って、わかりやすくお話してくださいました。
まずはコミュニケーションのコツについてのお話で、「自分が世界や他人に対して抱く強い期待の気持ちを抑える」ことが肝心とのこと。
つまり、期待は自分の心の中のinside、現実は心と無関係に展開するoutside、この「内」と「外」とをきちんと分けて認識する機能「自我の力」が大事で、これが弱まると、原始的(その時のことしか考えられず理屈が通らない)で自己中心的な言動になる「退行(赤ちゃん返り)」が起きるのだそうです。
退行には、子どものような自我を持つタイプと病気によるものの2タイプあるということですが、どう対応すればいいのか?
宮川先生は、こうすればいいというアドバイスは実現が難しく実際には役に立たないことが多いということで、こうしてはいけないという7つの禁じ手を教えてくれました。
1)相手の話を聞かずに腰を折ったり言い訳する、2)感情的になって応戦する、3)その場しのぎの対応や返答をしておさめようとする、4)常識で説得しようとする、5)相手の間違いを認めさせようとする、6)安易に謝る、7)事態が充分に把握できていないのにわかったようなことを言う。
7つのうちのどれもが、自分がされたら嫌だと感じる行為だと思い、「これらは最良ではないが最悪を避けて現実的にいい結果を出せることが多い」という宮川先生のお話に納得です。
また、トラブルが起こる前にできることとして、ルールを掲示してこうすれば快適に過ごせますよとアピールするなどいくつかヒントをいただきました。例えば、東京医科大学病院のトイレには「いつもきれいに使ってくれてありがとう」の貼り紙があり、建物は古くてもとても清潔なトイレなのだそうです。
時に自虐的体験談で笑いを誘いながら、「自分の前提を全ての前提と思わないで接する」「車間(人間)距離をうまくとる」など、接遇のポイントを随所に挟んだ宮川先生のお話にぐいぐい引き込まれ、あっという間の2時間でした。研修を終えて、勝手に相手に期待して思い通りにいかないことに腹をたてたことがあったのを思い出したり(これ、退行ですよね)、禁じ手をやっているのではないかと自分を振り返りました。
研修の目的は、図書館を気持ちよく利用していただくためにどうすればいいのかを考えることですが、宮川先生のコミュニケーションについてのお話は家庭や地域、職場などでも通じる内容で、自分が退行しそうになった時に自身を俯瞰で見ることの重要性を認識できてとても有益でした。
今回の研修で学んだことを実際の現場で少しずつでも活かせるよう頑張りたいと思います。(文:細野かよこ)
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