ドリス・レッシング『夕映えの道――よき隣人の日記』
昨年のノーベル文学賞を受賞したドリス・レッシングのことは、日本では意外に知られていなのではないでしょうか。中野区立図書館には幾つかの作品が蔵書されているけれども、予約が混んでるわけでもないし…。
彼女は1919年生まれだから、もう相当なご高齢である。ペルシャ(現イラン)で生まれ、南ローデシア(現ジンバブエ)で育ち、二度の結婚・離婚の後、49年に英国に渡って作家活動を始めたという珍しい経歴の持ち主だ。
幾つかの作品のなかから、タイトルに引かれてこの作品を取り寄せてみた。装丁もシンプルで素敵。サブタイトルの「よき隣人=good neighbour」とは、一人暮らしの高齢者を訪問して話し相手になるボランティアのことである。英国ではこんなボランティア活動が盛んに行われているらしい。
けれど、この物語は「よき隣人」の物語ではない。はたから見たら「よき隣人」としか見られなかった女性と老女の愛の物語。キャリア・ウーマンとして華やかな世界に生きてきた女性が突然、これまで見過ごしてきたものに目覚めていく物語であり、また女性同士の間にも横たわる階級差の問題を指し示している。
訳:篠田綾子
装丁:木村祐治・本多悦子 装画:はらだたけひで
発行:集英社、2003年、定価2000円+税
ISBN4-08-773394-7
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